大阪高等裁判所平成28年7月29日判決(判例タイムズ1435号114頁)
本件は、日本放送協会(NHK)との間で有期の委託契約を締結し、放送受信契約の取次等の業務に従事する者が、業績不良を理由に委託契約を中途解約されたことについて、本件中途解約は労働契約法17条1項(使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。)に違反すること等を理由に、労働契約上の地位の確認などを求めた事案である。
大阪高等裁判所は、以下のとおり判示した。
いわゆる地域スタッフについては、①仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無、②業務遂行上の指揮監督の有無、③勤務場所・勤務時間に関する拘束性の有無、④代替性の有無、⑤報酬の労務対象性、⑥事業者性の程度、⑦専属性の程度等を検討したところ、いずれの要素についても、使用従属性の存在を認める方向の事実は認められず、地域スタッフの日本放送協会に対する使用従属性は認めることはできない。
したがって、中途解約された地域スタッフが労働基準法及び労働契約法上の労働者であるということはできないし、本件委託契約に労働契約法が類推適用されるということもできない。よって、本件中途解約は有効である。