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「被告〇〇著述の『心理療法入門』の「〇〇子の症例」(94頁から116頁)のうち94頁から114頁の2行目までの部分は、原告の著作物である『〇子の症例』の全部引用というべきものであるに拘らず、その引用であることの明示を欠き、次いで同被告著述の『遊戯療法の世界』中には、右『〇子の症例』の引用著作物である『心理療法入門』中の『〇〇子の症例』の引用部分において、依然として右『〇〇子の症例』が『〇子の症例』の引用であることが示されず、かえってそれが被告〇〇の著作物であるものとして引用されたものであり、同被告の右著述は、前者はそれ自体で、後者は前者と相俟って、原告がその著作物『〇子の症例』につき有する氏名表示権(著作権法19条)を侵害したものということができる。」「よって、被告〇〇は右原告が『〇子の症例』につき有する氏名表示権(著作権法19条)を過失によって侵害したものであり、原告に対する不法行為による損害賠償責任を免れないものというべきである。」(〇子の症例事件 大阪地方裁判所昭和60年5月29日判決 判例タイムズ567号318頁)。