近時の重要判例


取締役会設定会社である非公開会社における株主総会決議による代表取締役の選任の効力

最高裁判所平成29年2月21日決定(判例タイムズ1436号102頁)

「取締役会を置くことを当然に義務付けられているものではない非公開会社(法327条1項1号参照)が、その判断に基づき取締役会を置いた場合、株主総会は、法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができることになるが(法295条2項)、法において、この定款で定める事項の内容を制限する明文の規定はない。そして、法は取締役会をもって代表取締役の職務執行を監督する機関として位置付けていると解されるが、取締役会設置会社である非公開会社において、取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができることとしても、代表取締役の選任及び解職に関する取締役会の権限(法362条2項3号)が否定されるものではなく、取締役会の監督権限の実行性を失わせるとはいえない。以上によれば、取締役会設置会社である非公開会社における、取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効であると解するのが相当である。」※公開会社について、株主総会にも代表取締役の選定権限を認める定款が有効かどうか、取締役会設置会社において、株主総会のみに代表取締役の選定権限を認める定款が有効かどうかなどについては、今後の議論に委ねられた。