近時の重要判例


退職した従業員に対する訴え提起と不法行為

横浜地方裁判所平成29年3月30日判決(判例タイムズ1443号222頁)

「本訴は、被告が虚偽の事実をねつ造して退職し、就業規則に違反して業務の引継ぎをしなかったという原告主張の被告の不法行為によって原告に生じた1270万5144円の損害賠償を求めるものであるところ、前記1⑵ないし⑹に認定した被告の原告退職に至る経緯並びに前記1⑺及び⑻に認定した原告退職後の就労状況に照らすと、原告において、原告主張の被告の不法行為があるものと認識したことについては全く根拠がないとまでは断じえないとしても、前記2⑵に説示したとおり、原告主張の被告の不法行為によって原告主張の損害は生じえない。」「原告による本訴提起は、被告に対する違法な行為となる。」※本判決は、仮に、早期の退職によって就業規則に定める業務の引継ぎをさせる機会の逸失があったとしても、それによって原告が主張するような損害は生じ得ないとした。