近時の重要判例


長期別居と年金分割

大阪高等裁判所令和元年8月21日決定(判例タイムズ1474号23頁)

「特別の事情の有無について検討すると、前記認定のとおり、抗告人と相手方の婚姻期間44年間中、同居期間は9年間程度にすぎないものの、夫婦は互いに扶助義務を負っているのであり(民法752条)、このことは、夫婦が別居した場合においても基本的に異なるものではなく、老後のための所得保障についても、夫婦の一方又は双方の収入によって、同等に形成されるべきものである。この点に、一件記録によっても、抗告人と相手方が別居するに至ったことや別居期間が長時間に及んだことについて、抗告人に主たる責任があるとまでは認められないことなどを併せ考慮すれば、別居期間が上記のとおり長期間に及んでいることをしん酌しても、上記特別の事情があるとうことはできない。そうすると」「本件按分割合を0.5と定めることとする。」