近時の重要判例


遺産分割禁止の審判

名古屋家庭裁判所令和元年11月8日審判(判例タイムズ1475号241頁)

「被相続人の遺産分割については、その前提となる本件第1遺言及び本件第2遺言の効力等に関して当事者間に争いがあり、その効力等の如何によって、相続人の範囲や各自の相続分が大きく左右される状況にある。また、申立人らは、これらの争いを民事訴訟により解決すべく、その提訴を準備中である。このような状況下においては、当裁判所が本件第1遺言及び本件第2遺言の効力等について判断の上で遺産分割審判をしたとしても、その判断が提起予定の訴訟における判決等の内容と抵触するおそれがあり、そうなれば、既判力を有しない遺産分割審判の判断が根本から覆されてしまい、法定安定性を著しく害することとなるから、本件第1遺言及び本件第2遺言の効力等に関する訴訟の結論が確定するまでは、遺産の全部についてその分割をすべきではない。」「本件第1遺言及び本件第2遺言の効力等に関する訴訟の結論が確定するまでには、向こう2年程度の期間を要することが見込まれるから、令和3年11月7日までの間、被相続人の遺産全部の分割を禁止することが相当である(なお、それより前に当該訴訟が解決に至った場合には、事情の変更があったものとして、分割禁止の審判を取り消し又は変更することが可能である(家事事件手続法197条))」