近時の重要判例


船舶の衝突と過失割合

東京地方裁判所平成31年4月26日判決(判例タイムズ1476号234頁)

「本件事故は、原告船が本件水路の左側を航行した上、見張りを怠り、被告船に気付くことなく本件急差転をしたばかりか、本件急差転後に過って左舵一杯としたことにより発生したものであり、原告船が適切に見張りや右側航行を行っていれば本件事故が生じることがなかったことは明らかであるから、原告船の過失は被告船の過失と比べて極めて重大であるといわざるを得ない。他方、被告船にも、右側端航行を行わなかったという過失及び衝突を回避するため注意を喚起する措置を取らなかった過失が認められるものの、前者については、本件水路の状況からすればそれほど大きな過失とはいえず、また、後者についても、現実の危険が発生していない段階での注意喚起を怠った過失に過ぎず、原告船の過失に比べるとその重大性は小さいというべきである。これらの事情を考慮すると、原告船と被告船の過失割合は、85対15とするのが相当である。」