東京家庭裁判所平成27年8月13日審判(判例タイムズ1431号248頁)
「分担の始期については、婚姻費用分担義務の生活保持義務としての性質と当事者間の公平の観点からすると、本件においては、申立人が相手方に内容証明郵便をもって婚姻費用の分担を求める意思を確定的に表明するに至った平成26年1月とするのが相当である。」
「申立人は自らの住居関係費の負担を免れる一方、相手方は自らの住居関係費とともに申立人世帯の住居関係費を二重に支払っていることになるから、婚姻費用の算定に当たって住宅ローンを考慮する必要がある。もっとも、住宅ローンの支払は、資産形成の側面を有しているから、相手方の住宅ローンの支払額全額を婚姻費用の分担額から控除するのは、生活保持義務よりも資産形成を優先させる結果となるから相当でない。そこで、当事者双方の収入や住宅ローンの支払額、相手方の現在居住している住居の家賃の額や家計調査年報の当事者双方の総収入に対応する住居関係費の額などの一切の事情を考慮し、本件では、次のとおりの金額を婚姻費用の分担額から控除するのが相当である。
平成26年●月から同年●月まで 3万円
平成26年●月以降 1万円」