遺産相続に関するよくある質問

Q9:包括遺贈は相続と類似していると聞きますが、相続との相違点は?


回答:相続人と異なり、遺留分などがありません。

包括遺贈とは、遺産の全部または一定割合で示された部分を遺贈(遺言によって、自らの財産を無償で他人に与えること)することです。たとえば、「遺産の4分の1を与える」と遺言に書くことによりなされます。相続人に対する包括遺贈は、同時に、相続分の指定であると考えることができます。民法990条は「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」と規定しているため、相続人以外の者に対する包括遺贈がなされた場合、包括受遺者は相続人と同視されることから、その者に対して相続分の指定がなされたものと考えることができます。

【相続人と同じ点】

  • 包括受遺者は、相続人とともに債務を承継し、遺産分割にも参加することになります。
  • 包括遺贈の放棄は、相続放棄の手続きで行います。

【相続人と異なる点】

  • 遺留分権がありません(となると、特定遺贈の方が安心)。
  • 代襲相続がありません。
  • 共同相続人の一部が相続放棄をしても、それによって相続分がふえるのは相続人のみです。
  • 包括受遺者の持分は登記しなければ第三者に対抗できません。
  • 法人でも包括受遺者になることができます。