最高裁平成10年1月30日判決
「払渡し又は引渡し」(民法304条但書)には債権譲渡は含まれず、抵当権者は、目的債権が譲渡された第三者に対する対抗要件(民法467条)が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使できる。これは、物上代位による差押えの時点で債権譲渡に係る目的債権の弁済期が到来しているか否かに関わらない。
(解説)
民法304条但書の趣旨は、二重弁済を強いられるという危険から第三債務者を保護するという点にあるが、債権譲渡がされた段階では、第三債務者は弁済していない。