最高裁平成11年1月29日判決
将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において、当該債権発生の可能性が低かったことは、債権譲渡契約の効力を当然に左右するものではない。もっとも、契約内容が譲渡人の営業活動等に対して相当とされる範囲を著しく逸脱したり、他の債権者に不当な不利益を与えるなど特段の事由がある場合は、公序良俗違反等として契約の全部又は一部が無効となり得る。
(解説)
最高裁昭和53年12月15日判決が「発生を確実に予測しうるものであるから」と判示していたところ(なお、同判決は、特定の債務者との間で将来発生する集合債権を1回の通知で譲渡することを認めた点に意義あり、現在もこの意義は失われていない)、本判決は、医師が将来の診療報酬債権を8年3カ月にわたって譲渡していた事案において、債権発生の可能性を要件とせず、期間の始期と終期を明確にするなどして債権が特性されている限り、有効に譲渡できる旨判示した。