最高裁平成12年4月21日判決
債権譲渡の予約にあっては、後の予約完結時において譲渡の目的となるべき債権を譲渡人が有する他の債権から識別することができる程度に特定されていれば足り、この理は、将来発生すべき債権が譲渡予約の目的とされている場合でも変わるものではない。本件予約によって担保される債権の額は、将来増減するものであるが、予約完結の意思表示がされた時点で確定するものであるから、右債権の額が本件予約を締結した時点で確定していないからといって、本件予約の効力が左右されるものではない。
(解説)
特定の商品についての売買取引から生じる将来債権を含む債権の包括的譲渡予約の効力が問題となった事例である。「他の債権から識別することができる」と言えるためには、①債権者・債務者が特定されていることと、②譲渡債権を発生させる原因となる法律関係(債権発生原因)が特定されていれば十分であると判示した。