最近の労使間トラブルに関する裁判例


裁判例16:私立大学の教員の有期労働契約と期間の定めのない契約への転換

最高裁判所平成28年12月1日判決(判例タイムズ1435号89頁)

 本件は、私立大学の教員が、期間1年の有期労働契約の3年の更新限度期間の満了時に労働契約が期間の定めのないものに転換され、雇止めは無効であるとして、大学に対し、労働契約上の地位の確認及び雇止め後の賃金の支払いを求めた事案である。

 最高裁は、本件労働契約が期間1年の有期労働契約として締結されものであるところ、その内容となる本件規程には、契約期間の更新限度が3年であり、その満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは、これを希望する契約職員の勤務成績を考慮して大学が必要であると認めた場合である旨が明確に定められていたのであり、教員もこのことを十分に認識したうえで本件労働契約を締結したものとみることができる。

 本件労働契約が3年の更新限度期間の満了時に当然に無期労働契約となることを内容とするものであったと解することはできない。

 本件労働契約は、平成26年4月1日から期間の定めのないものとなったとはいえず、 同年3月31日をもって終了したものというべきである。 原判決中、被上告人の労働契約上の地位の確認請求及び平成26年4月1日以降の賃金 の支払請求を認容した部分は破棄を免れない。