最高裁判所平成29年7月7日判決(判例タイムズ1442号42頁)
本件は、医師が勤務先の医療法人に対し、時間外労働等に対する割増賃金の支払等を求めた事案である。
最高裁判所は、以下のとおり判示して、原審に差し戻した。
上告人(医師)と被上告人(医療法人)との間においては、時間外労働等に対する割増賃金を年俸1700万円に含める旨の本件合意がされていたものの、このうち時間外労働等に対するに当たる部分は明らかにされていなかったというのである。そうすると、上告人(医師)に支払われた年俸について、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することはできない。
したがって、被上告人(医療法人)の上告人(医師)に対する年俸の支払により、上告人(医師)の時間外労働に対する割増賃金が支払われたということはできない。