最近の労使間トラブルに関する裁判例


裁判例41: 65歳に達した社員の雇止め

 最高裁判所平成30年9月14日判決(判例タイムズ1457号48頁)

 

 本件は、日本郵便株式会社との間で有期労働契約を締結して、郵便の集配や区分けの業務に従事していた労働者が、旧郵政公社時代にはなく、郵便会社になって定められた条項に基づいてなされた、65歳での雇止めの無効を主張して、地位確認と賃金支払いを求めた事案である。

 

 最高裁は、以下のように述べて、労働者の請求を棄却した。

 

 まず、最高裁は、「使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、当該労働条件は、当該労働契約の内容になる(労働契約法7条)」ということを確認した。そのうえで、本件の雇止めの条項につき、「屋外業務等に対する適性が加齢により逓減し得ることを前提に、その雇用管理の方法を定めることが不合理であるということはできず」、郵便会社の「事業規模等に照らして」も、労働者ごとに「更新の可否を個別に判断するのではなく、一定の年齢に達した場合には契約を更新しない旨をあらかじめ就業規則に定めておくことには相応の合理性があ」る。また、65歳という年齢による上限条項は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の解釈に照らして、同法に反しないとする。

 

そして、「本件上限条項の定める労働条件が労働契約の内容になって」おり、「上告人らと被上告人との間の各有期労働契約は、本件各雇止めの時点において、実質的に無期労働契約と同視し得る状態にあったということはできない」とした。