東京地方裁判所平成29年6月14日判決(判例タイムズ1462号190頁)
本件は、定年後に都立学校で任期1年の非常勤教員として勤務していた元教員が、再採用されなかったことは違法であると主張して、都に対し、不採用通知の処分取り消しや地位確認を求めるとともに、不採用や不採用関係書類の情報開示が遅れたことに関する国家賠償を請求した事案である。
裁判所は、以下のように述べて、通知の処分性を否定し、全ての請求を退けた。
まず、処分性については、都における非常勤教員制度は、「教職経験者のうち一定の要件を備えている者を、選考により」任期1年で任命する者であり、「採用申込者を全員採用しなければならないものではないから、採用申込者に対し、非常勤教員としての採用を求める法的権利が与えられていると解することはできない」から、「不採用それ自体により、直接、当該申込者の権利義務が形成され、又はその範囲が具体的に確定されるものではない」として、処分性の要件を充たさないとした。
次に、地位確認については、上記のように採用申込者に法的権利が認められない以上、非常勤教員たる地位は認められないとした。
そして、国家賠償については、「本件不採用の判断に裁量権の逸脱・濫用があったと認めることはでき」ず、そして、「本件非開示処分に違法はない」として認めなかった。