著作権法Q&A

Q18:複製行為の主体が問題となった裁判例を教えてください。


A18

 複製行為の主体とは、複製の意思をもって自ら複製行為を行う者をいうと解される。独立した事業者として、営利を目的としていわゆる自炊代行サービスの内容を自ら決定し、スキャン複製に必要な機器及び事業所を準備・確保した上で、インターネットで宣伝広告を行うことにより不特定多数の一般顧客である利用者を誘引し、その管理・支配の下で、利用者から送付された書籍を裁断し、スキャナで読み込んで電子ファイルを作成することにより書籍を複製し、当該電子ファイルの検品を行って利用者に納品し、利用者から対価を得る本件サービスを行っている事業者は、利用者と対等な契約主体であり、営利を目的とする独立した事業主体として、本件サービスにおける複製行為を行っているのであるから、自炊代行サービスにおける複製行為の主体である(知財高裁平成26年10月22日 自炊代行事件)。