受託者は、信託財産に属する財産の占有について、委託者の占有の瑕疵を承継する。
(ポイント解説)
民法187条の例外である。委託者から受託者に対して、占有の移転があった場合、受託者は信託財産の占有について委託者の瑕疵を承継し、受託者が自己の占有のみを主張する場合においても、前主である委託者の瑕疵を承継する。
この規定の趣旨は、物の瑕疵ある占有者である委託者が、その物を善意の受託者に移転して善意占有者の保護を受けようとするような、信託制度を利用して占有の瑕疵を不当に消滅せしめようとする信託の濫用を阻止することにあった。
権利の瑕疵については本条は類推適用されず、個々の制度ごとに、抗弁の切断規定の適用を考えるべきと言われている。